正常な物忘れと病的な物忘れの違いとは?

正常な物忘れと病的な物忘れ

「人の名前が思い出せない」、「昨日の事が思い出せない」という事が増えて来ると、「もしかして認知症では・・・」と不安になるものです。

人間は年齢と共に脳の機能も衰えて来るので、単なる物忘れは誰にでも起こりうる事です。

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しかし、中にはアルツハイマーなどの病的な物忘れもあります。

いたずらに不安を抱え込まないためにも、正常な物忘れと病的な物忘れの違いを把握しておく事が大切です。

正常な物忘れ

人間の記憶というものは、脳の神経細胞が次から次へ情報を伝達して行くという仕組みで成り立っていますが、加齢とともに神経細胞が減少したり、情報伝達機能が低下してきます。

人間の脳細胞は約140億個ありますが、40歳を過ぎた頃から1日に5万~10万の脳細胞が死滅するという説もあります。

そのため、「人の名前が思い出せない」、「昨日の夕食の献立が思い出せない」、「探し物が見つからない」などの記憶の低下は誰にでも起こりうる事なので心配はいりません。

このような体験の一部だけを忘れてしまうのは、「正常な物忘れ」です。

これは、脳の中に保存されている情報をうまく取り出す事ができなかったために起こるもので、ヒントを与えられたり、良く落ち着いて考えれば思い出す事ができます。

このように、物忘れをした事を自覚できる人の9割はまったく心配のない「正常な物忘れ」と言えます。

自覚できる物忘れは、「忘れないようにメモをとる」などの対応ができるため、社会生活に支障をきたす事はありません。

加齢による正常な物忘れを予防したり、進行を遅らせるためには、脳を活性化したり、脳の血流を増やすなどの方法があります。

病的な物忘れ(異常な物忘れ)

病的な物忘れの場合は、新しい情報を脳に取り込んで保存する機能に障害が起こり、見たり聞いたりした体験全部を忘れてしまいます。

会った人の名前が思い出せないという前に、その人に会ったというできごと自体を忘れてしまうのが、正常な物忘れとの大きな違いです。

新しい事が覚えられないため、数分前の会話を忘れてしまい、同じ事を何度も聞き返します。その他、作り話をして物忘れをごまかしたり、しょっちゅう捜しものをする、自分のいる場所がわからなくなるといった症状が目立つようになります。

このような物忘れの場合は、本人に自覚がない場合が多く、周囲にいる家族が注意してあげる必要があります。

また、病的な物忘れでは殆どの場合、老化の範囲を超えて急速に進行し、社会生活にも支障をきたすようになります。

このような病的なもの忘れを起こす病気として、「アルツハイマー型認知症」、「ルビー小体型認知症」の他「脳梗塞や脳出血による脳血管性認知症」があげられます。

また、脳腫瘍やヤコブ病、正常圧水頭症、うつ病や過度なストレスなどで、物忘れが起こる事もあります。

現代の医学では、軽い認知症の場合、治療や生活習慣を改善する事により進行を遅らせる事も可能になってきています。

正常な物忘れの範囲を超え、病的な物忘れが疑われる場合は、「物忘れ外来」などの専門医を受診しましょう。


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