高齢者に多い本態性振戦
高齢者の「手のふるえ」の原因のトップにあげられるのがこの「本態性振戦(ほんたいせいしんせん)」というものです。手のふるえで悩んでいる人のうち100人に1人か2人はこの本態性振戦(パーキンソン病の10倍以上)と言われています。
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本態性振戦の症状と原因
本態性振戦の症状は、「何かをしようとする」と手がふるえるという特徴があります。
コップや湯のみで何かを飲もうとする時に手がふるえる、ペンを持って字を書こうとすると手がふるえるというものです。
この本態性振戦のはっきりした原因は不明ですが、自律神経のコントロールがうまくいかないのが原因のひとつとして考えられています。
自律神経が興奮するため、ふるえを意識して「止めようとすればするほどふるえが強くなる」「人前で、緊張するとよけいにふるえがひどくなる」といった症状を引き起こすと考えられています。
本態性振戦の治療法
本態性振戦は、ふるえの他に何らかの症状が出る事はなく、命にかかわるものでもないので、気にならなければ治療をせずに様子を見るだけでかまいませんが、どうしても気になったり、日常生活に支障をきたすような場合は神経内科などを受診し、治療をする事ができます。
本態性振戦の治療には、自律神経が筋肉を活発にするために出す物質をブロックする交感神経遮断薬(βブロッカー)の他、数種類の薬が使われます。
ただし、いずれの薬も眠気やふらつき、血液や肝臓への影響などの副作用が出る事があり、心臓の悪い人や喘息のある人、低血圧の人、高齢者には使えないこともあるので、注意が必要です。
本態性振戦とパーキンソン病のちがい
本態性振戦は、ふるえの他に異常はないため、特別な治療を必要としませんが、パーキンソン病による手のふるえの場合は、進行性のため早めの治療が必要です。
そのため、本態性振戦による手のふるえか、パーキンソン病による手のふるえかを知っておく事は重要です。
まず、「字を書く時に手がふるえる」、「両手の指を合わせたり水平に揃えて上げたりする時に手がふるえる」、「コップに水をそそいだりコップの水を飲む時に手がふるえる」という場合は、本態性振戦の可能性が高くなります。
また、本態性振戦では、声のふるえや頭のふるえを伴うことがありますが、足に出ることはあまりありません。飲酒によりふるえが軽くなる傾向があるのも本態性振戦の特徴です。
パーキンソン病による手のふるえは、左右どちらか片方から発症しますが、2~3年するともう片方の手にもふるえが現れます。何年か経過しても左右の手のふるえ方に強弱が見られます。
また、パーキンソン病の場合は、何もしていない静止時に起こりやすく、何か動作をしようとするとふるえが軽くなる傾向があります。ふるえは指に見られる他、上肢や下肢、顎などに見られる場合もあります。
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